βー1
自分でも、長く持たないことぐらいわかっていた・・・
だって、自分の身体だから・・・、
でも、母さんと、父さんが
「絶対治るから!」
俺は、この言葉を心のどこかで信じていたのかもしれない・・・
一年前から、この自分の部屋をでれなくなった・・・
そして、一週間前からベットの周りしか、動けなくなってきた・・・
半年後には、俺はまだ生きているだろうか?
草木の色が変わる頃、俺はまだいきているだろうか?
そう思うと、やっぱり心は絶望と不安と恐怖に飲まれた・・
こんな俺にも楽しみがある・・・
それは、ベットに座ったまま外を見れるこの窓だ。
この窓が、俺にとっての唯一の部屋の外を見れる物・・・
俺はいつもの様に、ベットから身を乗り出し窓から顔を出した、
外の風はとても気持ちよく、やはり最高だった・・・
いつもどうり、外を見渡し、ふと下にある額ほどの庭を見るとそこには、
誰かがいた・・・!
そいつは、まるで魔法使いのようなコートを着ていて、
深く顔が見えないくらいフードをかぶっていた、
顔を見てやろうとおもったが、黒いフードをかぶっているのでよくわからない・・・
しかも、そいつはしゃがんでいるのでこの位のことしかわからない・・・
すると、庭にいた奴が急に、上を向いた!!
俺はあせって顔を引っ込めた・・・
「びっくりした!!」
久しぶりに独り言を言っていた・・・
俺はもう一度、庭を覗き込んだ
しかし、そこには誰もいなかった・・・
俺の見間違いだったのだろうか?
俺が首を横にひねっていた、ちょうどその時、
「霧高 学君?」
と斜め上の方から声が聞こえてきた・・・
俺は、すぐには斜め上を向けなかった・・・、なぜなら・・・
そこには、何もなくて空を飛べない限りいられない所だったから・・・
全身から汗が噴き出てきた、冷や汗なんてレベルじゃなかった・・・
俺はゆっくり、斜め上を向いた・・・
そこには、さっき庭にいた黒いコートを着て、フードを深くかぶった奴だった